近親婚の禁止は人が自然状態の時期にすでに発生している。これが「どの民族も」その禁止(禁忌)を習俗として持つ理由付けになっている。この「自然状態」を「サル」時期と遡る必要はない。旧石器時期とすると、レヴィストロースの論調が理解できる。


俺らだって自然状態では近親姦淫は実行しないとサルが怒る(上野動物園とか高崎猿山とか、一緒にするな。野生の叫び!
化け物伝説、ミノタウルス。王女と雄牛の交合から生まれた牛頭、人身体。クレタ島の迷宮神殿に住む(ピカソ画、部分、ネット採取)
 部族民通信ホームページ   開設元年6月10日 投稿2021年2月28日
 
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Les Structures Elementaires de la Parente親族の基本構造3  

2Le probleme de l’inceste近親婚の問題の1

 
 
自然状態で生まれた
近親婚の禁止を説明する3の有力説
遺伝劣化を起こすなど信じていない

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レヴィストロース著「親族の基本構造」の紹介を続けます。前回投稿の1131日)、2(同)では前文Intrroductionを取り上げています。今回3回目は第2Le probleme de l’inceste近親婚の問題に移ります。(文中にブログ投稿時の日付、ノンブルが残ります)

章頭の文は;

Le probleme de la prohibition de l’inceste se presente a la reflextion avec toute l’ambiguite qui, sur un plan different , rend compte du caractere sacre de la prohibition elle-meme.

Cette regle, sociale par sa nature de regle et en meme temps pre-sociale a un double titre : d’abord , par son universite, ensuite , par le type de relations auxquelles elle impose sa norme.>(14頁)

訳:「近親婚の禁止、以降は近親婚...」の問題を解こうとするにもそれは曖昧なまま立ちはだかる。しかし別の取り組み方をすれば、禁止自体が神聖さ(sacre)という看板を隠れ蓑としている故にと見当がつく。この規則(regle)は、規則である故に社会的であり同時に前社会的(pre-sociales)でもあるのだ。その理由はまず禁止するという規範は「汎人類」に認められる。この事実をして自然での発生である。さらには禁止が適応される(男女)関係には部族、社会ごとの隔たりがある、故に社会(文化)でもあるといえる。

訳文中に趣旨を取り入れたが、「規則」は社会文化の範疇である。一方、「前社会的」は自然を意味する。相反する両の性格がこの制度「近親婚」に認められるとの指摘である。人が文化を獲得する以前に(pre-social性格ながら)この制度が生まれ、族民社会が文化の獲得の後にそれぞれの決め事として制度に確立した。これは本章の伝えかけ(メッセージ)であると同時に本書の主題の一つでもある。

一方、

「それを解明する取り組みには(論調の)曖昧さ」が残り解決にいたらない。「神聖sacre」故にとレヴィストロースは気遣うが、先達の研究は人の性状や心理を文化の枠の「制度」と分離せずに議論していただけと読める。自然性と社会性を混同していたからとの指摘である。

本章の本論に入る、

これまでの学説を3の典型(生物学、心理、歴史から説明する)に挙げて、いずれも反論を加え否定する。引用文では「ある一つの別の取り組み方sur un plan different」と謙遜しながらも、これが自身の解析で決め手と言いたげであり、章後半にそれ(社会の確立が近親婚の理由)を開陳する。それは前社会 (自然)からの継続要素を孕むものの、確固とした社会性格(文化)を持つ。これまで主流であった「心理、欲望」などからの説明は文化に属する規則制度とはなじまないと否定する。またこれら自然側からの説明にまとわり付く神聖なる範疇を設け、かつそれを祭り上げている論調を排除しなければ、その理解には至らないとしている。

訳にあたって「universite」を汎人類とした。

族民であれ文明人にしても、あらゆる人間社会に「近親婚」は存在する。彼は「いかなる婚姻形態(父と娘、母と息子などの)をも認める社会」は存在しているだろうかと自問して「absolument negative」絶対にないと自答している(引用は略)。この事実をして「近親婚」が汎人類的と結論した。

しかるに禁止とする(男女関係の)範囲は社会ごとに差が激しい。例を挙げると;イトコ婚に関して交差いとこを推奨(あるいは強制)する民族が多いが、父系交差、母系交差の分別は峻別である。またいとこは近親として婚姻を認めない社会も報告されている。多くで近すぎる血縁として禁止している姪と叔父、甥と叔母も同じく、特定の関係であれば認める社会もある。しかしどの社会も「近親婚」の範囲の概念を持ち、規則とし制度を固めて容認、禁止している。

「新石器革命」を人類の大転換期として、レヴィストロースはその重要を著作それぞれにて論じている。本書では諸々の社会制度=文化は新石器以降=とする記述が見られ、その主張は「近親婚」を取り巻く規則とは人類原初(自然)から発生し、後々に小規模(バンド)単位で女の「やり取り」が組織化され、更には部族社会に特徴的な複雑系を抱えた「限定交換」が形成されたとする

すると原初段階、前社会性、自然状態での「近親婚」禁忌の濫觴とはなにか。

本書にはこの説明はない、理解を進めるために部族民の補として若干の行句を割く。

自然とは旧石器時期の社会形態である(当初、人類の自然状態として相当の過去、ゴリラとかチンパンジー的ジャングル自然を念頭に置いたが、どうも辻褄が合わないし、それは馬鹿らしい。人類が過去に経由した「自然」とは新石器革命の以前、旧人類旧石器時期とするのが妥当であろう)。

なぜなら、

旧石器の自然生活は家畜持たない、栽培小麦も米もなし。オデンなんかを煮込もうと企んだところで土器がない。土地の生産性は新石器期と著しく低い。バンドの一単位は1~2家族510人程度の群であろう。家族バンドと取り巻く環境をレヴィストロースが伝える「前社会」としよう。

(旧石器期のバンド構成などは考古学の分野である。「悲しき熱帯」で報告される半定住のNambikwara族の生活、彼らは旧石器人と主張などするものではないが、土地の生産性では旧石器時代に近いと見て、彼らのバンド構成を参考にした。同書では「数家族20人未満」の集団としている)

このような前社会でも婚姻には規制が設けられ、制度として確立していた(はずだ)。バンド内の、家族内で「世代再生産」に励んでいた訳では決してない。例えばNambikwara族にしてもその規則は交差イトコ婚、これを制度としてを確立し、家族内再生産は禁忌であった。

旧石器時期の家族バンドにおいても上下婚(親子婚たわけ)水平婚(兄弟姉妹の婚たはけ)の禁止はあった(はずだ)。これをして「近親婚」とは人類が自然状態であった時期からの由来と(部族民蛮神)解釈する。さて、旧石器時期には人類は極端に人口減に見舞われたと(ネット知識)で知る。孤立した家族バンドが生き延びるには他バンドとの「女も含めた財の交換」が必須であった(はずだ)。「近親婚」の規則が「汎人類的」である理由もここにある。

近親婚の問題の1の了

 

2021120日)第2章「Le probleme de l’inceste近親婚の問題」の2自然から文化;

<la prohibition de l’inceste est a la fois au seuil de la culture , dans la culture, et en un sens la culture elle-meme>14頁)

「近親婚」は文化状態に入り込む敷居であり、かつ文化そのものである。

上訳の敷居はseuil。日本語の感覚で敷居は玄関の「内側」、フランス語の感覚では「境界線上」まだ玄関の内ではない。よって「その始まりはまだ文化ではない」と訳したいが語感とは離れる。そんな勝手な解釈が妥当との根拠はあるのか。内と外では違う、このあたりを深堀りする。

Petit Robertではその意味は概ね境界線上だが、こんな用法を見つけた「sol autours de la porte d’entre」玄関戸口の周りの土とある。土ならば外側である。スタンダード辞典にもある「一歩手前」とも整合する。すると新石器革命以前を「前社会」として未だ文化には一歩手前である。けれど文化範疇でもある(一体どちらか、こうした厳しい問い質しには「己の言語感覚」で判断してくれと答えます)。

だから「近親婚」は自然状況、旧石器の族民も実施していた。そう解釈して「pre-social」の意味が掴める。一歩手前の「前社会」はまだ敷居の上、故に「自然」とする。

なぜ「外か内か」に拘るかというと、「近親婚」のuniversalite(汎人類性、世界のどの民族もそれを規則として持つ)の説明に「自然状態の時期」から禁止していたからと説明するから。時はいまだ自然に囲まれる文化、その外枠として近親婚を捉えたい。

(邦訳親族の基本構造では「敷居」を玄関の内側としている。内か外かで日本語感で判定すれば内側に分がある。部族民はこれを外側として新旧石器と革命の意味合いを噛みしめたい)

続く文、

Leurs tentatives peuvent se ramener a trois types principaux, que nous bornerons ici a caracteriser et a discuter dans leurs traits essentiels>()

彼ら(前文の過去の社会学者達を受ける)の意図は3に分けられる(trois types principaux)、それら学説をここに定形化して内容を確認しよう。3の説とは;

1        生物学 2 心理 3歴史の残滓

各論点の紹介と人類学の立場から批判に入る。

1;生物学観点。

この観点からの説明は比較的新しい。16世紀以前には誰も語っていなかったとの前置きのあと、LewisMorgan(1818~81年アメリカ、白人至上主義、先住民は未開人説を展開)生物学説の紹介に、

La prohibition de l’inceste serait une mesure de protection visant a mettre  l’espece a l’abri des resultas nefastes des mariages consanguins>15頁)

「近親婚...」は血族結婚を重ねる生じる不吉な(遺伝的)結末から種族を守るための手段であるかもしれない。(動詞のseraitetre(be)の条件法で断定していない「かも知れない」と訳した。Morgan自身、断定していない様が伺える)

多くの部族で近親婚の結末として「子が化け物(monstre)」を伝えている。しかしそれら先住民は近い血族(曽叔父と姪、オーストラリア)でも「近親婚ではない」として婚姻が制度で許される。その結合による子は両親の血縁の近差にも関わらず、化け物にならない。

tels chatiments sont communement prevus par la tradition primitive pour tous ceux qui transgressent les regles, et ne sont nullement reserves au domaine particulier de la reproduction>15頁)

このような懲罰(子が化け物)は多くは社会の「(いろいろな)規則破り」で出現する、近親婚での再生産を唯一の原因としていない。

 

続いてJochelsonWaldemar1937年没シベリア民族の研究)の報告にある「Yakut族はいとこ婚で生まれた子は早死するし、子の両親も長生きはしない」伝承を取り上げ、こうした(先住民信心の)報告をどのように解釈したら良いかと自問する。そして答えは即座に出てくる。次の文節は;

Voila pour les sanctions naturelles. Quant aux sanctions sociales , ells sont si peu fondees sur des conditions physiologiques que….>(16頁)

ここなのです、これらは自然(生物学的)からの罰と語っている。しかるに(より一般的な)社会からの制限が控えるのだが、それは生物(生理)学の視点など持たない。

例証にボルネオ・Kenyah族の「近親婚...」の制度と罰則を取り上げる。

母、姉妹、娘...などとの婚姻を禁止し、さらに姻戚の母(=義母)などにも適用され、「これらの違反は罰則が更に重い」。義母、義姉妹、義娘(妻の連れ子)は婚姻を経た「社会の制度」が定義それらを「親族」としているだけで、「生物的つながり」に絡まる血族ではない。しかるに罰則をそこまで広げている背景には「遺伝的虚弱化」を警告している訳ではない。決まりとしての罰である。姻戚との婚の禁止はかく文化に由来する、ならば「血縁との禁止」にしても文化に規定される。

Yakut族など先住民の信心、畸形を生む原因が近親婚である、それ故に部族民は禁止とした。この説は民族学の先学に報告されが、これに対してのレヴィストロース批判は;

「社会には規則がある、規則破りへの予告的戒め」をまず検討しなければ、こうした言い伝えの評価はできないと指摘する。

(日本でもこの規則、姻戚との婚たはけの禁止は古代からあった。古事記ではそれをも罪(穢れ)として血族との近親婚と同列にして禁止する。「本朝たはけ2000年考」に投稿した)

「近親婚」の生物学説への、別の観点からの批判が続く。

曰く:人はそもそも(新石器革命時期には)近親体を掛け合わせて、優秀な子孫(栽培種、飼育種)を作っていたではないか。

On ne doit d’ailleurs pas perdre de vue que, depuis la fin du paleolithique, l’homme utilise des procedes de reporoductions endogamiques qui ont amene les especes cultivees ou domestiques  vers un degre croissant de perfection. Comment donc, a supposer que l’homme eut ete conscient des resultas de tells methodes et qu’il eut juge,  en la matière de facon rationelle , expliquer qu’il ait abouti dans le domaine des relations humaines a des conclusions opposes a celles que son experience…後略(16頁)

訳:しかしながら学に関わる者(on人)たるは視線の基準点を失ってはならぬのだ!旧石器時代の終焉時期から人々は近親交配(reproductions endogamiques)の手法を用いて栽培種(小麦など)、飼育種(牛豚)の育成を手がけ、完璧なまでに育種の生産性水準を高めたではないか。その事実を持ってして、人間の遺伝分野(domaine des relations humaines)にのみ、それら結果とは真逆とも言える思考判断を、どのようにして人が取るのか。

レヴィストロースが得意とする「そもそも」論の神髄とも言える指摘です。

2章「Le probleme de l’inceste近親婚の問題」の2 了(2021120日)

 

2章「Le probleme de l’inceste近親婚の問題」の32021122日)

<レヴィストロースが得意とする「そもそも」論の神髄とも言える指摘>が前回の最後。

誰もが知る事実、あるいは当然として推定する事象。これらをそもそもの出発点として理性から推論する、さらには公理を導く。この思弁をして小筆(蕃神)は「哲学的」と申すのですが、別の観点で学を進める論者、とくに実証主義からの批判を浴びる。

動植物の改良の手口(かけ合わせ間引き)と人の遺伝を較べ論ずるは不合理なんて批判がヒューム主義から出てきそうだ。(アングロサクソン系実証主義の学徒からの批判をレヴィストロースは「受け流す」を常としている)

 

Comment surtout, si l’homme primitif avait ete sensible a des considerations de cet ordre, comprendre qu’il se soit arrete a des interdictions, et n’ait point passe aux prescriptions, dont le resultat experimental eut - au moins dans certains cas – montre les effets benefices?(同)  

訳:もし原始的人類がこの秩序(近親婚による人遺伝の劣化)が厳然としてあると知りその禁止を計っていたとしたら、そして経験で知っていた良い結果をもたらした近親交配技法(栽培種など)の取り決めに踏み出さなかったとしたら(新石器革命は起こらなかった)

(文に用いる時制は仮定法過去、過去になかった事をあると仮定している。近親交配は遺伝劣化をもたらさないと知っていたから品種改良を実践していた。近親婚を実行しても、遺伝劣化に陥らない事を知っていた。しかしそれを禁止している事実は、遺伝とは別の背景がここにあるからとの意味の逆説論法です)

Les prescriptions positives que nous rencontrons le plus frequemment dans les societies primitives sont celle des unions cousins croises()

多くの未開社会で(近親婚を認めることに)肯定的な取り決めが報告されている。それは交差いとこ婚である。

この文の後に「並行いとこ婚」(父の兄弟の子、あるいは母の姉妹の子)の婚姻は近親婚とみなされると続く。レヴィストロースの疑問は「血の繋がりでは同じ濃さ、しかし一方は推奨されもう一方は近親婚として禁止される」この点をもってして「近親婚...」は生物学的配慮ではなく、社会の取り決め、すなわち文化の発生とする。

続いて遺伝学の説明に入る。(部族民)はこの分野を理解する者ではない。しかし上記の「近親婚は遺伝劣化」をもたらすか?と絡むから、一句だけを引用し、つたない訳を貼り付ける。

Les mariages consanguins ne font qu’assortir des genes du meme type , alors qu’un systeme ou l’union des sexes serait determine par la seule loi des probabilities (panmixie de Dahlberg) les melangelarait au hazard. Mais la nature des genes et leurs caracteristiques individuelles restent les memes dans les deux cas. Il suffit que les unions consanguines s’interompent pour que la composision generales de la population se retablisse telle qu’on pouvait le prevoir sur une base de panmixie.(17)

訳:Dahlbergが言うところのpanmixa(配偶を任意に選ぶ)では両性の遺伝子(genes)は偶然に依存して混ざり合う。一方で近い血縁の者同士の遺伝子は、同型の遺伝子の混ざり合いとなる。しかし、遺伝子の特性とその個人性を鑑みると、両者は同類とも言える。近親配偶での遺伝子混合が、母体人口がpanmixia(任意配偶が継続されて蓄積した遺伝子の組成)状態に近づけば同類であるから。

引用文の前に<si l’humanite avait ete endogame depuis l’origine>もし人間社会が発生期以来、族内婚を実行していたのならを記している。これはあり得る。

本書刊行の後、人類の祖先を遡る「出アフリカ」論が発表され、人類史の画期としてもてはやされた(ストリンガー、学説発表は1990年代、2001年に邦訳刊)。レヴィストロースが仮定として前置きした「族内婚の時代」はこの論でも取りざたされている。現在の旧世界民族は風貌、言語、社会など多様な民族の集体と思えるが、遺伝子的には大変、接近している。アフリカを除く人間の遺伝子の相違は、どれほど遠隔(たとえば東アジアと西ヨーロッパ)にあっても、アフリカで近接する部族間(出アフリカしていない)の差異よりも小さい。これは遺伝子学徒から1990年代に聞いた。今の学会で主流になっていると聞く。

(アフリカ人は、他のどの集団と比較しても大きな遺伝距離をもっている。これとは対照的に、東アジアの五集団は、それぞれの集団間の遺伝距離が非常に小さい=宝来聰著「DNA人類進化学」から)

出アフリカの原因に気候の変動と人口の激減(ボトルネック)が発生したとの解説もある。少数構成ながら規則を設けた「族内婚」で存続を乗り切ったのであろう。

レヴィストロースは近親婚が遺伝劣化をもたらさない証左にpanmixiaと族内婚での遺伝系列は同等であるとした。20年を経て形質人類学側からその証拠(出アフリカとボトルネックを経て、人類は一度panmixiaを経験した。故に近親婚が遺伝劣化を発生させるは当たらない)が出た流れとして理解する。(遺伝学に全くの素人の戯れ文としてこの一段を笑って読んでください)

この後heterozygote, homozygote(異型結合、同型結合と訳すか?)なる専門用語を駆使し近親婚による遺伝劣化を否定するが、これら語は辞書にも出ていない。分からないから説明できない。(邦訳本では克明に解説を入れている。訳者福井和美氏の渾身作業が伺える)

「近親婚....」生物学からの説明、最初の行に戻ろう、

「生物学からの説明は比較的新しい、16世紀以前には誰も語っていなかったとの前置きのあと、LewisMorgan(1818~81年アメリカ、白人至上主義)の説を紹介」を入れた。

改めてこの句「比較的新しい」と「白人至上主義」を取り出した意味を問うと;16世紀にはイエズス会など宣教師集団からの先住民観察が報告され始めた。当然、彼らの婚姻形態、いとこ婚や叔父姪、叔母甥婚も報告された。先住民の「未開性」を近親婚による「知能劣化」と結びつけた説が、比較的新しい時期に出現した。

さらにこの説には2の骨子があって

1        未開人多くに怪物伝説が語られ、理由に近親婚による結果としている。彼らも近親婚の弊害には気づいていた。

2        多くの未開人はイトコ婚など近親婚を制度としている。彼らの知性は劣等な水準にとどまっている。

1,2は撞着している。総体としてこの遺伝劣化説は矛盾している。

2章 Le probleme de l’inceste近親婚の問題 了

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