部族民通信ホームページ   投稿2023é年10月15日  開設元年6月10日
主宰蕃神(ハカミ)義男        部族民通信  ホームページに 神話学のページに     
「新大陸神話の北上」説  
  大陸神話の北上説 上

 

202444日)レヴィストロース神話学第4(最終巻)L’Homme Nu裸の男の最終章「Finaleフィナーレ」から「新大陸神話の北上」説について。

 

1南北大陸の神話群は似かよう。 

2南米神話の内容は簡素、短い。北米神話の筋は複雑。故に神話は北上。

3 新大陸の民族移動は北から南、神話も南下が定説、北上説は多くの民族学者に否定される。

 

これに反駁するレヴィストロースの論点を紹介する。(本書挿図に赤丸左、黒線などを部族民が加え下図右を作成)

 

 

主張を詳しく :

 

1 似かよい ; 筋立て(armature)と伝えかけ(schèmeスキーム=メッセージ)において同一(identique)、時には逆立(inverse)関係(=これも近似性)が認められる。神話学全4巻に収録された南北アメリカの神話総数813は全て、基準神話M1ボロロ族伝承の(ブラジル・マトグロッソに居住)の「水と火の起源」神話と直接、間接に関連する(同一、反転など)との。

 

« On est allé dans le troisième volume de l’Amérique du sud à l’Amérique du nord, grâce à des mythes inversés dont la signification était identique. Dans le quatrième volume, grâce à des mythes identiques (puisque M529~531 reproduisent M1, M7~12) dont la signification était inversée » 訳:第3巻(Origine des manières de table)では(前半の)南米神話と(後半の)北米神話の幾つかの神話を比べると(構成)は逆転しているが意味(schème) では同一の神話と判定でき、南北を結び付けられた。さらには第4巻(北米神話)では(南北神話を見比べ)構成は同一ながら意味が逆転する神話群のおかげで北上説を確認できた(括弧は訳者、裸の男564)

 

南北神話の比較

1      神話そのものは逆転、意味あいは同一 (第3巻の基準神話「モンマネキの冒険」対「月の嫁」

2      神話そのものは同一、意味は逆転 (第1巻「火と水の創造」対第4巻「イシスの冒険」

 

4« Homme nu » 裸の男「家族の秘密」章での実例は :

 « Au point où nous sommes, mieux vaut, souligner la symétrie dès à présent manifeste entre les versions nord et sud-américaines de l’histoire du dénicheur d’oiseaux. Le héros de M1, supposé impubère, viole sa mère. Celui de M530 n’a pas de mère, et il est non seulement adulte et marié, mais couverts de femmes. Au début du mythe, l’un n’a même pas encore reçu l'étui pénien. L'autre apparaît comme le maître des plus riches habits. Il faudra que son père oblige à se dépouiller des pieds à la tête. Pour pouvoir revêtir son coutume et assurer son aspect physique (page29) » 今、我々は南北アメリカの鳥の巣荒らし神話に見える対称性 « symétrie » を語らねばならない。M1(南米ボロロ族伝承、神話学全体の基準神話)で英雄はまだ成人となっていない時期に(通過儀礼前の少年、生物学的成熟とは異なる)母を犯す。M530(北米Klamath族伝承)の英雄イシスは母を失い、複数妻を持つ正丁。片方(M1)はペニスケース(同族は日常ではこれを唯一の衣装としている)すら帯びず、もう一方は服飾も華麗。父親は大木に巣くった鳥の巣をあらすよう息子に命じるが、頭から足の先までの衣装を脱がなければならなかった。

 

« Cette relation de symétrie s'étend à tous les aspects du mythe. Ainsi, l'inceste avec l'épouse du père qui sert de départ à M1i, s'inverse dans M530 en inceste avec une épouse du fils. Par vengeance, dans le premier cas, par calcul dans le second, le père isole son fils au sommet d'un arbre ou paroi rocheuse sous prétexte de l'envoyer dénicher ici des aras, là des aigles » ()

対称性は両の神話群のあらゆる要素に広がる。かくして、父の配偶者との近親姦、これがM1神話の出発点となり、それが反転して息子の配偶との姦淫。一方では直接の復讐、片方は計算づく(俗神力の源がパイプにあると知る)で追い詰める。木の頂点と崖の上、金剛インコ対鷲―と対象性が見える。

 

逆転している対称性は :

1      少年対正丁 通過儀礼前(狩に参加できない) 対 既婚、狩りにも長ける

2      服飾はみすぼらしい(服を着することを許されない裸体)対 絢爛さ

 

これらは英雄の社会位置でありそれを符丁Code(話の筋をなす要素、レヴィストロースの呼び方)として、その出発位置と発展(Codage)を比べる。2の立ち位置は反対inverseを見せる。これが対称性を示す。

符丁が筋の中で進展するさまをCodageとする。近親姦なる符丁が子と母、父は嫉妬し子を追いやる。子は帰還して父に復習する。もう一方、父は息子の嫁を(息子のフリを装い)誘う。樹上に追いやられた息子が帰還し父を(それなりに)懲らしめる。Codeの設定(近親姦)もcodage進展(父の反発、子を放逐)も似通い « ressemblances » が認められる。

 

新大陸神話の北上説 中

202446日)M1Bororo族)とM530(北米Klamath族)の近親姦の比較。

北米神話のイシスの冒険はいわく因縁(近親姦と死の幾層かの重なり)の果に英雄イシスが生まれる。、原型と目されるM1神話では一回の上下婚(ハハコタワケ)、さらには一旦(断崖で)死んで少年が英雄に進化する。筋道の共通性をして北米Klamath族の伝えるイシス神話(M530)は、南米マトグロッソBororo族の「火と水の起源」神話M1の伝播とレヴィストロースは主張する。

似通いの様は下図を参照。

 

ダイアグラム

自動的に生成された説明

 

下はCodeを取り出し、その展開をして南北神話の比較を図にしている。

また筋立ての機転となる近親姦、そして終結の親殺しParenticideは南北共通です。上図 にまとめた。

 

 

 

この図の読み方 : 南米・北米神話は同じ主題(Code)を採り上げ、それらCodeの進展にも同じ流れを見せている。最左柱は分断同盟を表す。近親姦を経て同盟が分断される。M540では近親姦は語られない(5人兄弟と1人の妹が共同生活。兄弟も妹も同盟(嫁取り婿取り)を否定する。

2番目社会制度では通過儀礼(男子壮丁の序列を決める)の否定、M1。右方の2柱にも同じ主題、同じ進展が見られる。

 

 « Nous ne cherchons pas le pourquoi de ces ressemblances, mais le comment. En effet, le propre des mythes que nous rapprochons ne tient pas à ce qu'ils se ressemblent ; et souvent même il ne se ressemblent pas. Notre analyse tend plutôt à dégager des propriétés communes, en dépit de différences parfois si grandes qu'on considérait des mythes que nous rangerons dans le même groupe comme des êtres totalement distincts (page32) » (南北神話の相似について) なぜ(Pourquoi) 似通うのか、その理由を探しているのではなく、どのように(Comment)相似があるのかを求めている。我々が採り上げる神話の本来姿は、見比べても似通いに気づくわけでは無い。多くは、僅かな似通いすら見せない。よって我々の解析とは幾つかの特有性状 « propriétés » を探し出すところから始める、たとえ人々には相違が大きいと見られても、それら神話を同一の群として、そのより分け理由からは明瞭にその群に帰属する個体神話と認められるに至るのである。

 

もう一例を挙げる。下は南米Kutuna族伝承のモンマネキ神話(第三巻、食事作法の起源に収録)と北米Arapaho族の月の嫁神話(同)の比較の図。

図の説明:同盟の形成努力、筋道で近似性が認められる。一方でモンマネキは男の努力、月の嫁では女の願望と逆転する。両者は同一神話ながら構成が逆転とある。さらりと目を通してください。

 

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新大陸神話の北上説 中 の了 (46日)

 

 

 

 

 

 




 
神話が伝播するたびに
ふるい分けられる筋道
がある。南米神話の血生
臭さは北米には少ない





















神話北米の経路(想像図)
パナマ隘路で南北陸続き
だが、ここのダリエン地峡は
踏破するに難所、ガイアナヴェネ
ズエラに(今も)居住するWarau族は
カリブ海アンティル諸島にも
居住していたので、海路を北上したと
想定した。

カリブ諸島先住民はコロンブス
が持ち込んだ伝染病で絶滅
した。神話は残っていない。































































































































































































































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