部族民通信ホームページ   投稿2025é年5月10日  開設元年6月10日
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構造人類学Anthropologie Structurale 番外
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(2023年10月に投稿した記事プエブロ族の神話を全面改訂した)2025424日)

レヴィストロース構造人類学 Anthropologie Structurale ヒトの由来 番外
(2025年4月26日にGooBlogに投稿、日付ノンブルはそのまま)

2025424日)レヴィストロース構造人類学 Anthropologie Structurale IX章は神話を主題とする。エディプス神話と北米プエブロ族神話を比較している(別投稿で解説)。それら頁から主題「ヒトの生まれの由来」を構造主義から展開する幾節を採り上げた。

1 神話はヒトの頭の中の表象から生まれる。 

上には異論はないかと思う。翻るとこれは起源神話の追求は意味をなさない、となる。レヴィストロースは « le mythe reste mythe aussi longtemps qu’il est perçu comme tel » 永く語られるままに神話は神話としてあったーと語る。

Œdipe神話が今も語られるとしたら、古代ギリシャのソフォクレスの心中に、今21世紀の解釈を重ね合わせても不整合など生じない。実際にフロイトが新たな概念「コンプレックス」を持ち出して、エディプスの心の内を解析した。 « On n’hésitera pas donc à ranger Freud, après Sophocle, au nombre de nos source du mythe d’Œdipe » エディプス神話の資料としてソフォクレスに続いてフロイトを採り上げる、ここに躊躇はないと思うが。(240頁)

レヴィストロースとしての論点は: « Ce principe est bien illustré par notre interprétation du mythe d’Œdipe qui peut s’appuyer sur la formation freudienne, et lui est certainement applicable. Le problème posé par Freud en termes « œdipiens » n’est sans doute plus celui d’alternative entre autochtonie et reproduction bi-sexuée » 240頁)これを基本とすると我々のエディプス神話解釈(人の生まれは砂の芥か女の股か=部族民注)はフロイトの説明と重なり合うし、きっとそれを基本としての展開は可能であろう。さらにはフロイトが「エディプスコンプレックス」として提唱した課題は、もはや砂の生まれ(autochtonie)か女の生まれ(bi-sexuée)かを超えている。

部族民:エディプス神話がヒトの生まれの由来、この解き明かしの手段を提供してくれる。問題点は(人は「大地からか女か」ではない)一人で生まれるのか二人からか。これを起点として浮かび上がる次の提題は「個は己から生まれるのか、他者から生まれるのか」。これが問題(一人か二人か)を結ぶ架け橋(pont)となり、問題を解決できる策を与える。この進め方を採ることで、とある連関性が浮かび上がる。緊密すぎる血縁関係と疎遠な血縁関係を向かい合わせると、男は大地生まれから抜け出ようとする呻吟努力を重ねるが、達成できない行きがかりに対峙する。

 « Mais il s’agit toujours comprendre comment un peut naître de deux : comment se fait-il que nous n’ayons pas un seul géniteur, mais une mère, et un père en plus ? » (同)一人の男がなぜ二人から生まれるのか、それを如何にして理解するか、一人女の胚ではなく母と父の種で生まれるかーなぜそんなことが起こるのかが課題なのだ。

部族民: Œdipe神話のフロイト解釈では男は一人で生まれる。Pueblo神話では「族民」は地底に住む惨めな「己」が地上に上った。自己に成るべく(ヒトらしき姿に生まれ変わるために)試練を経る。この過程はヒトは己から生まれるを教える。ここでレヴィストロースは「ヒトの生まれは己からか」他者からの葛藤に向かう。

レヴィストロースをさらに聞こう ;

 « Que signifierait donc mythe d’Œdipe ainsi interprété à l’américaine. Il exprimerait l’impossibilité où se trouve une société qui professe de croire à l’autochtonie de l’homme de passer, de cette théorie, à la reconnaissance du fait que chacun de nous est réellement né de l’union d’un homme et d’une femme. La difficulté est insurmontable » (239)

アメリカ風に翻訳されたエディプス神話(プエブロ族神話)は何を伝えかけるのか。男の生まれは大地からと信じる社会には、この論理を乗り越え我々の誰もが一人の女と男の結合から生まれ出るとの(現実に合致する)認識にはたどり着かないであろう。乗り越えられない困難がここに横たわる。

部族民:時空隔たる二の部族が男の砂生まれを伝える。これが「乗り越えられない困難」の傍証とレヴィストロースが諭している。

« Mais le mythe d’Œdipe offre une sorte d’instrument logique qui permet de jeter un pont entre le problème initial naît-on d’un seul, ou bien de deux ? et le problème dérivé qu’on peut approximativement formuler : le même naît-il du même, ou de l’autre ?  Par ce moyen, une corrélation se dégage : la surévaluation de la parenté de sang est, à la sous-évaluation de celle-ci, comme l’effort pour échapper à l’autochtonie est à l’impossibilité d’y réussir »

(左の図は現実、宇宙論を二分して、それぞれの界で二人(男女結合)生まれ、一人生まれ、己生まれに分解して対照させている。ぜひクリックを)

しかし視点を替えればエディプス神話が、解き明かしの論理手段を提供してくれる。そもそもの問題点は(人は「大地からか女か」ではない)一人で生まれるのか二人からか。これを起点として浮かび上がる次の提題は「個は己から生まれるのか、他者から生まれるのか」。この進め方を採ることでとある連関性が浮かび上がる。緊密すぎる血縁関係と疎遠な血縁関係を向き合わせ見ると、男の大地生まれ(の信心)から抜け出ようとする努力が、それなど達成できるはずのない不可能さに対峙する(諦観)と同じである。

レヴィストロース構造人類学 Anthropologie Structurale ヒトの由来 番外 の下

2025426日)ヒトの由来 番外 の上のあらまし:神話はヒトの思想=表象=の反映である。Œdipe       エディプス神話の主題は「人の生まれの由来」フロイトによって繰り返され、北米プエブロ族にも同様の神話が報告されている。レヴィストロースはこの「由来」を発展させる)

« Nait-on d’un seul, ou bien de deux ? ― et le problème dérivé qu’on peut approximativement formuler :  le même naît-il du même, ou de l’autre ? » 239頁)人は一人から生まれるのか、二人からか。この問題は絶妙の近似で以下に公式化される、人は己から生まれるのか、他者からか?

レヴィストロースを続けます。

« L’expérience peut démentir la théorie, mais la vie sociale vérifie la cosmologie dans la mesure où l’une et l’autre trahissent la même structure contradictoire. Donc, la cosmologie est vraie » 

経験は理論を否定できる。しかし社会生活では宇宙論が前者(一人生れ)にしても後者(二人生まれ)も同じ構造体の逆向きであると検証している。よって宇宙論が正しい。

部族民:この論理展開が本節の核心であり、最も分かり難い文でもあります。宇宙論(思想)の「正」向きと現実の「逆向き」は本質として同格であり、「思想」が示す向きが常に正しいのはなぜか?ヒトは女の股から生まれ落ちる、これが現実。宇宙論ではヒトは大地から這いずり上がる。落ちると上がるの対極が目指す宇宙の中心は「己の生き様」です。現実は宇宙論に組み入れられる、よって宇宙論が正しい。

次の数節は「宇宙論」神話の追加解説; « Ouvrons ici une parenthèse, pour introduire deux remarques On a pu négliger une question qui a beaucoup préoccupé les spécialistes dans le passé : l’absence de certains motifs dans les versions les plus anciennes (homériques) du mythe d’Œdipe … »  (page 240)

ここで2点に留意するために括弧を設ける。最古のエディプス神話(ホメロス期)には幾つかの筋道が欠けているーこれが神話研究者を悩ませていたのだが、その問題「起源の神話とは何か」を(上記の構造主義的視点を採れば)無視できる。

« La méthode nous débarrasse… à savoir la recherche de la version authentique ou primitive » この進め方(もともとの正統的神話とは何か)は私を困惑させる言ってみれば起源を探す試みだが、それは原初の神話でしかない。

フロイト論を確認しよう; « Ce principe est bien illustré par notre interprétation du mythe d’Œdipe qui peut s’appuyer sur la formation freudienne, et lui est certainement applicable. Le problème posé par Freud en termes « œdipiens » n’est sans doute plus celui de l’alternative entre autochtonie et reproduction bisexuée. Mais il s’agit toujours de comprendre comment un peut naitre de deux »

Œdipe神話の我々の解釈はこの原理(神話は宇宙論の同時的反映)で説明できるし、これがフロイト公式に重なりその説を補強する。エディプスコンプレックスとは「大地生まれ」と「両性が世代を再生産する」の択一ではない。ヒトはなぜ二人から生まれるのか、如何にしてこれを理解するかに行き着く。

(宇宙論を信奉する族民、プエブロ族はこれを理解しないと注釈している=前述)

故にヒトは己から生まれる。宇宙論 « cosmologie » 思想が正しい。

レヴィストロース構造人類学 Anthropologie Structurale ヒトの由来 番外 (426日)

 

 

 

 

 

 

 



































フロイト(写真、ネットから)のエディプスコンプレックスとは「人は女一人」から生まれる。レヴィストロースは人は己から生まれると発展させた。
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