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先住民の工芸技術をBricolageやっつけ仕事、レヴィストロースは低く評価した。元の動詞Bricolerの意味は(辞書 Robert):一義gagner sa vie en faisant toutes sortes de petites
besognes.些細な仕事で手間賃稼いで生活を立てる。二義arranger réparer tant bien que mal, de
façon provisoire結果が悪かろうと気にせずやっつけ仕事で直す、まとめる。前向きの意味に用いられない。「がらくた仕事」は強すぎるので「やっつけ」を本投稿では使う。
レヴィストロースは数頁を費やしこの語を採用した理由を説明している。辞書は仕事を実行する「行為、行動」と伝えるが、「そうした行為を容認する、そのやり方しか方法がない」状態、事情をこの語が表しているとレヴィストロースは教える。職人を取り巻く環境を指す。
« Une
forme d’activité subsiste parmi nous qui, sur le plan technique, permet assez
bien de concevoir ce que, sur le plan de spéculation, peut-être une science que
nous préférons appeler « première » plutôt que primitive : c’est
celle communément désignée par le terme bricolage » (30頁)
訳;私達にはとある行動形態が今も残る。技術面においてそれは目立つし、思弁においてもある一種の「科学」を今も精神に密かに育んでいる。その科学を原始的(primitive)と呼ぶは控え「原初première」の科学としよう。それが「寄せあつめ」なる語に形容される「科学」なのだ。
« De nos jours, le bricoleur reste celui qui oeuvre de ses mains,
en utilisant des moyens détournés par comparaison avec ceux de l’homme d’art » (同)「寄せ集め人」は歪曲した進め方で手仕事に向かう人として今の時代にも残る。芸術家とはおおいに異なる。
Bricolageは完璧を求めない技法、ひなびた田舎に生き残る民衆技能か。
« Le bricoleur est apte à exécuter un grand nombre de
taches diversifiées ; mais à la différence de l’ingénieur,
il ne subordonne pas chacune d’elles à l’obtention de matières premières et d’outils conçus
et procurés à la mesure de son propre projet : son univers instrumental
est clos » (後略 31頁)
「寄せ集め」の従事者はあらゆる種、様々な作業に手をつける。しかし(同じく多岐の仕事に携わる)「技術者」との違いは、それら作業の遂行が(手持ちの道具のみでは)困難だからとして、より有効な素材、工具を工夫する、見つけて持ち込むなどはしない。彼の工具の世界は閉ざされているから。
この文を「具体科学」と「近代科学」との対照になぞらえるとbricolageの位置が明瞭になる。Le bricoleurは「モノが限定された環境」での技術表現者である。
« C’est
de la même façon que les éléments de la réflexion mythique se situent à mi-chemin
entre des percepts et des concepts » (32頁) 神話的考察の各要素が「知覚されるモノ」と「考察されるモノ」の間をふらつくと同じく、bricolageに用いられる要素も同じくふらつく。
この文節からbricolage思考論に入る。C’estは前の文節で語っている寄せ集め作業のこと。 Mythiqueが原文通りですが、急に「神話的」がでてきても(部族民は)当惑する。これを「mystique」神秘的と(尊師のウンチク深い語彙選びを勝手に捻じ曲げ)理解したい。すると前段の魔術と整合する上、文の意味が取れる。神秘的要素とは護摩の灰やらクマのクソなど。モノ自体はそこらに転がっている単なる物体に過ぎないが、オマジナイをかけると効能もあらた。するとBricolageでのéléments要素は作品を形作る素材。前頁に掲載した奇怪な建造物(facteur du
Cheval)を例に取れば石、煉瓦、窓枠など。こちらの見えるママの荒削りぶりに対して職人の完成期待感の間に「ふらつき」が生じる。
« Il serait impossible d’extraire les premiers (=percepts)
de la situation concrète où ils sont apparus, tandis que le recours aux seconds
(=concepts)exigerait que la pensée
puisse mettre ses projets entre parentheses» (32頁)。感じられるモノをそれが現れている具体状況から引き抜く(Chevalの城で見ると、無造作に積まれる煉瓦や石の造形意味あい)は不可能かも知れない。さらには考察していたなにがしかを振り返り突き詰める作業とは、思想(設計図的なモノ)がそれらの考察を括弧内に置く(何を作るのを明瞭にさせる)事の要求につながり、これも労を要する。
この文は寄せ集め作業の思考を説いています。目の前にできあがった作品とそれを作らさしむに至った頭の中(設計図かも知れない)の性質は、いずれもその作品に固有の繋がりを有する。別の言い回しを採ると、Bricolageの作品には歪さ、ユガミなどが付随する。出来上がったらそのユガミなども作品の個体性を形成するーと理解します。
野生の思考La pensée sauvage3 Bricolageやっつけ仕事 了(2023年9月)
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