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3_3 エディプス神話群、4柱構成
エディプス神話群の筋は4の柱に分解される。

左端の柱の特質は; « rapports de parenté sur-estimés » 近すぎる近親関係。
« Tous les incidents réunis dans la première colonne à gauche concernent des parents par le sang, dont les rapports de proximité sont exagérés: ces parents font l’objet d’un traitement plus intime que les règles sociales ne l’autorisent » (232頁) 左端の柱それを探ると血縁関係、その強すぎる接近を示す。社会規則がそれを認めない程の親密な交接を素材にする。
拐かされた妹エウロペ―をカドモスが探すー誘拐現場は侍女らに目撃されている。牡牛に乗って海に消えた。探しようが無いけれど妹との「近すぎる近親関係」の為せる熱望か、カドモスは捜索に出る。同柱の下部、エディプスが母イオカステーを知る(母子相姦)は近すぎる関係の最たる顕れ。アンティゴネーが死を賭してまでも兄ポリュネイケースを葬るも「近すぎる近親関係」を示唆している。
2例の兄妹関係、その近すぎる中身をソフォクレスは語らない、派生異聞にさえも表されない筋道を創造するわけにいかない。しかし文脈を追えば彼らの濃密さは推察できる。また次章で採り上げるPueblo族(北米先住民)神話では、兄妹の近親姦が文化創造の節目となる役割を果たしている。この采配を勘ぐるとカドモス・エウロ…などにそれなりの関係があった、とレヴィストロースが暗示している(と部族民は勘ぐる)。
すなわちソフォクレス、フロイトが着目した母子相姦(上下婚オヤコタワケ)をレヴィストロースは水平にも拡大して(水平婚アニイモトタワケ)、上下水平の近親姦の世界でヒトの世の穢れを嘆き、肉厚に神話の熱さを謳い上げる。
一方、右端の柱は近親関係を否定する男たちが配される。そこに « les hommes naissent de la Terre » 男は「大地から生まれる」なる古の信心が秘匿される。(カドモスの子孫となる)ラダコス、ライオス、エディプスの系統、これら名称をレヴィストロースはギリシャ語原義に立ち入って「足の不自由」さの含意を「大地生まれ」と結び付けている。
「男は大地から」は突拍子もない説に聞こえるが、レヴィストロースの創作ではない。238頁の脚注でギリシャ神話研究家のMarie Delcourt女史 (1891~1979年Liège) の主張となる。 « Dans les légendes archaïques, ils (hommes) naissent certainement de la Terre elle-même » アルカイック伝説では男は大地そのものから生まれる。
これは古代に広まっていた言い伝え、男女の関係を地と空に喩える説から発展したと同女史の解釈を引用する(238頁)。
大地生まれに « autochtonie » の語をレヴィストロースは当てる。辞書Le Grand Robertにその義を尋ねると « issu du sol même où il habite » 自身が住む土から「出た」人とある、土着民。第3義に « être né de la Terre » 「地から生まれた」とある。引用元を本書238頁としている。レヴィストロース解釈が仏語圏で認められている証左と考えます。
3_4 エディプス神話群、中の2柱

中央の柱は左右端の結界を結びつける位置を占める。これをして « intermédiaire » 仲介役とする(図を参照)。柱内ではいくつもの出来事が発生し、その流れが左から右へ(逆も)移動の橋渡しとなる。 地から湧き出た兵士達(スパルトイ)は互いに殺し合い5人だけが生き残る。テーベを建設するカドモスに協力する。戦士は男の大地生まれを地で行く。彼らの協力がカドモスを近親姦からの逃避(最右の柱)に押し出す。
右2列目の柱 ; 障害となる怪物を殺し、男の大地出自を安堵する試練と見る。狂言回しを演じる怪物(前出スパルトイ、ドラゴン、スフィンクス)にも大地との関連が指摘される。右端柱との関連は « Le trait commun de la quatrième colonne pourrait être la persistance de l’autochtonie humaine. Il en résulterait que la quatrième colonne entretient le même rapport avec la colonne troisième que la colonne 1ere avec la colonne 2eme » これらに共通の特質は人は大地から生まれるなる主張であろう。第一と第二柱(左端と隣)に認められる補完関係がここにも探せるのである。
出来事が斜め下がりに動く。下がる流れの行くすえは、両端柱での縦の下降を形成する。端から端に追われ、辿り着いた端の宿命に巻き込まれる。言い換えると水平婚の穢れから逃れて、土の生まれに押し込められてそこも離なされ、母子相姦に背を押される。
ソフォクレスが謳ったエディプスの運命がヒトの因果。

フロイトは男の願いと現実の落差の出どころが、生まれにまつわる呪いのまぐわい、父という名の他人男が介在する命の仕組みを男が否定する。それが深層心理と教えた。
4 結語。Œdipe神話の訴えかけ:男の大地生まれと近すぎる近親関係、生まれの冷酷と生きる享楽を比較する。両の世界の対立が男の宇宙を形成するーエディプス、そしてフロイトの抱くヒトの由来の宇宙論Cosmologieとなり、レヴィストロースの「ヒトの己の生まれ」に繋がります。
Anthropologie Structurale構造人類学
第IX章魔術と信仰 « Magie et Religion » エディプス神話 の了 (2025年5月)
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