| 部族民通信ホームページ 投稿2023é年10月15日 開設元年6月10日 |
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レヴィストロース 構造人類学 Anthropologie Structurale 2 社会の構造 |
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« En Amérique du Sud, cette institution (ou, plus exactement, ce schème d’organisation) représente un élément commun à plusieurs sociétés, qui comprennent les plus primitives comme le plus avancées, avec toute une série d’intermédiaires » (127頁) 南アメリカ(先住民社会)ではこの制度は、より正しく云えば組織の図表(スキーム)となるのだが、未開な社会から最も開化している多くの部族社会にまで、共通する要素を表現するものとなる。 ここに語る「制度」は南米先住民に広く分布する « organisation dualiste » (部族社会の)二重組織を指す。一の村落が2の部(あるいは支族)に分かれ婚姻、祭儀の次第、狩猟の段取りなどを分かち合う制度で、「悲しき熱帯」Bororo族村落(Tsugare、Ceraに分かれる)の描写にその典型が読み取れる。 一旦はこれを « institution » であるとしたが正確を帰せばそれは « schème » なのだと訂正を入れた。ではスキーム « schème » の意味は : Kantの用語―Représentation qui est l’intermédiaire entre les phénomènes perçus par le sens et les catégories de l’entendement (Robertから) 感覚が認める事象と思考が定める範疇を結びつける表象。 |
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« schème » を « institution » との対比で用いている。 « institution » は「設立されている」「実際に存在している制度」など目に見える「モノ」に属す。対比するcatégorieの訳に「範疇」を用いたが(哲学での使い方は)概念がより近い。概念とは思想であって感覚がそれを覗くことは不可。レヴィストロースはここでの « schème » の意味合いにKant用法を借り入れているから、上文の理解は「各部族、村落で認められる二分制度は実際にそこに存在するモノであるが、それらはモノとして変異を顕にしている(様々な形体がありうる)。それら偏倚を結びつける範疇とは概念であり、これは思想に属する。南米族民の二分制度とは、一過性かつ不完全な実態ではなく、恒常、普遍の概念が君臨していると言えよう。 形体を決定するのが思想である「概念」である。構造主義の理念に一歩近づいた。 |
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«Nous nous proposons, en effet, de montrer ici que la description
des institutions indigènes données par des observateurs sur le terrain
coïncide, sans doute, avec image que les indigènes se font de leur propre
société, mais que cette image se réduit à une théorie, ou plutôt une transfiguration
de la réalité qui est d’une nature toute différente » (134頁)
現地で調査している報告者からの制度の説明は、先住民が自分達の社会の様を頭に描く画像(イメージ)と重なるものであるが、この画像はある「理論」に収束される、理論というよりは現実の変身かもしれない。この現実とは、その性状からして、全く異なるモノとなっている。 上引用文は「実際(モノ)側」と「頭の中の思想側」を用いる語から見事に分離している、鍵となる語を分けると; 実際のモノ:制度institutions、彼らの社会propre société、現実réalité 頭の中思想:イメージimage、理論théorie、変貌transfiguration 明瞭に二分される。 先住民は「制度」を実際として運用しており、それは現実である。その現実がその場にある背景は頭の中の表象(イメージ)これが « schème » スキームであり、そこから派生して現実に積み上がる。表象とは変貌 « transfiguration » であり理論であろう。 モノ対思想、この対峙は次の文にてさらに展開する。; « L’organisation dualiste des populations du Brasil central et oriental n’est pas seulement adventice, elle est souvent illusoire ; et surtout, nous sommes amenés à concevoir les structures sociales comme des objets indépendants de la conscience qu’en prennent les hommes (dont elles règlent pourtant l’existence), comme pouvant être aussi différentes de l’image qu’ils s’en forment que la réalité physique diffère de la représentation sensible que nous en avons, et des hypothèses que nous formulons à son sujet » (同) ブラジル中央部及び東部の人々(先住民)の二重構成社会は付随的ではないうえ、絵空事であるともいえる。社会の構造が人々の存在を支配していることは間違いないにしても、彼らが抱く意識から実際には、かけ離れている社会の組織があって、(現地調査する我々は先住民の意識に)導かれ、かくあれと受け入れることになるけれど、その社会構造なるものは先住民が描くイメージはからも、我々が(こうだろうと)推察する表象とも、更には主題に合わせて我々が定義づける仮説とも、かけ異なる場合が往々に見受けられる。 引用文は長い、文脈のうねりもあるが伝えかけは一貫している。前引用では「対峙」réduire à une realité、この引用文では1実際と2思想として思い込む制度との乖離différerを述べている。 |
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![]() Nimuendaju ブラジル民族誌家、通用名。本名は Curt Unckel; 18 April 1883 – 10 December 1945 |
ふるい分ける; 1社会の構造(structures sociales)、対象(objets)、現実(réalité physique)、存在(existence) 2 意識(conscience)、イメージ(images)、表象(représentation)、仮説(hypothèse) と対立する語群が抽出できる。目に見える社会構造を « organisation dualiste » として先住民は思想に基づきイメージ、表象など意識に浮かぶ様を語り、調査者は彼らの説明に基づき仮説を立てる。それが実際の社会構造の現実とかみ合はない場合もある。 Sherente族の意識と実際制度との「乖離」の例に採り上げる。言い伝えで同族は本来の族民と征服し吸収した民で構成される。2の部、それぞれが4の支族に分かれる8支族で構成される。彼らが部族構造とする表象(思い込み)は二重構造社会である ; « Ni les deux équipes sportives, ni les quatre association masculines…, n’interviennent dans la réglementation du mariage qui dépend exclusivement du système des moities » (同) 訳:しかしながら2組に分かれるスポーツチームも、4の男組寄り合いにしても…社会二重構造とこれに密接な婚姻制度とは同期していない。 理念として先住民が抱くのは「二重構造社会」。それを基盤とする制度は「婚姻制度」のみ。ここでレヴィストロースが主張するのは婚姻のみが二重構造として実際と思想の対峙で説明できる。他の社会制度、スポーツチームや寄り合いなどはその様がみえない。二重構造とは別とすると、いかなる表象を基盤にしているのか。 観察者(Nimuendaju ブラジル民族誌家、本名で呼び合う習慣を持たない南米先住民がつけた通用名。本名は Curt Unckel; 18 April 1883 – 10 December 1945))はそれを語らず、レヴィストロースはBororo族社会制度の説明において狩り(集団)、漁労、村落、葬儀など祭の式次第で、2分割されている村落が規則性のもとで、二に別個に実行する様を描写している。例えば男が死ぬと別の部の男たちに「狩りをおこなう権利」が生じる一など。婚姻でも所属する部の娘と結婚するのではなく、対抗する部(特定の支族)の娘を貰う(実際は婿にでる)。 現実の行為(実際のモノ)は思考の制度を超す速度で変遷する。この例証をどこに捉えるか。こんな話を聞いた:アメリカの社会観察家が日本人古老に「結婚制度は?」と質問した。「見合いして、気に入ったら仲人を立てて娘側に伝える。結納の日取りを決めて祝言」と答えた。人類学者が渋谷に出て若い二人に「誰を仲人に立てた?結納あった持参金いくら払ったぁ?」と尋ねたら「そんなの古い話よ」と笑われた。 構造人類学 Anthropologie Structurale 2 社会の構造 了 (2023年9月30日) |
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