| 部族民通信ホームページ 開設元年6月10日 投稿2021年3月15日 |
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| 親族の基本構造7 ムルンギン族の体系 | |||||||||
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親族の基本構造、限定交換の部、ムルンギン族の体系 「レヴィストロース著、親族の基本構造Les structures élémentaires de la parenté」を続けます。「Le système Murnginムルンギン族の親族体系」は本書通し章番で第12、限定交換の部の最終章に位置します。同族の(女の)交換は限定交換に一般化交換が重なり複雑体系を見せるのですが、「限定交換」の一例としての採り上げとなります。 Murngin族について。 オーストラリア北部、Carpentaria湾に臨むArnhemの地に居住(していた)。ネットでMurnginとしての紹介は見当たらない。語族集団のYolnguが多くヒットし居住地区はMurnginと重なる。MurnginはYolnguの一支族でWarner報告から90年を経て、固有性が消滅したのかもしれない。(ミズン著氷河期以後平凡社に6000年前のMurngin族が、好戦的部族として紹介されている) Arnhem地の現在と地図、Yolngu族民の写真を貼り付ける。 |
基本構造1リンク 基本構造2 基本構造3 基本構造4 基本構造5 基本構造6 基本構造7 親族構造のプレゼン1(限定交換PDF) アンドレヴェイユの数値による親族解析 ショートムービー(5分) Youtube動画(10分) Youtubeに入ってyrb_h8d5bjaで検索 |
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![]() アボリジニの母娘。慣習では子は他サブセクションに養子に出される。子が何歳の時に出されるのかの原資料は無い。和やかな雰囲気の母娘なので、成人してから、婿取りをする直前などと推測してしまう |
オーストラリア北部、アーネムランド、カーペンタリア湾、先住民(写真はネットから) (親族構成の底本は「Morphology of the Murngin Kinship」W.L.Warner American Anthropologist vol32に収録。Murngin族の体系は他オーストラリア先住民のいずれとも異なり、一風変わった(aberrant様変わり、理屈外れ, 英語ではoff pattern)仕組みを見せている) « Le système Murngin ressemble au système Kariera, parce qu’il possède quatre sections et au système Aranda, parce que ces quatre sections sont divisées en huit sous-sections. Mais il diffère de l’un et de l’autre en ce que ces sous sections existent toujours, bien qu’elles ne soient pas toujours nommées » (本書194頁) 訳:ムルンギンの親族体系はカリエラ族のそれと似通う。なぜなら両者とも4のセクションを持つから。またアランダ族の体系とも似る、4のセクションが8のサブセクションに分かれるから。しかしそれ(Aranda族システム)にしてMurnginとも(Kairieraとも)異なる。なぜならそれ(Aranda)のサブセクションは常に存在しているのだけれど、呼称が当てられていないから。 カリエラ、アランダ族。 レヴィストロースが言うところの「呼称が当てられているサブセクション」とは写真(195頁)。写真(本書196頁、Webbによる。1933年の報告)と表の意味合いは「NgaritサブセクションとBuralangサブは男(婿)を交換する。族内婚のendogamieセクションと規定できる」を形成する。下列のBulain, Balangについても両者で内婚集団。8のサブセクションが4の内婚セクションを作っている。
図説明 Murngin族の構成。半族M,L対峙する。MにはA,Cのセクションに分かれ、それぞれ1,2のサブセクションに分かれる。呼称はA1はNgarit、A2Bulainなど図の通り。
垂直線で分ける半族(YiritchaとDua)は婿交換の境界を示す。婿は必ず垂直線を越えて、水平線はまたがずに交換される。水平線は子の交換の境界、子はこの線を越して、垂直線はまたがずに交換される。
交換の例、AセクションとBセクション。A1とB1は限定交換で婿をやり取りする。水平線。しかし観察者はたすき掛け交換(A1とB2,A2とB1)の例(青の斜め破線)も報告している。図は上半分のみだが、これが下半分にも現れる。ここで読み取れるのは、婿は垂直線を越すが、水平線は越さない。
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![]() アボリジニ(オーストラリア先住民)には動物のみならず自然物も信仰の対象。写真(ネットから)はエアーロック。 |
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| Webbら一次報告者は「婿の交換は水平が原則、たすき掛けは非常手段と判断する。するとレヴィストロースの言い方で、婿は限定交換、子は一般化交換となる。 これはアボリジニ他部族の習慣と合わない。レヴィストロースはたすき掛けを補完に位置づけ、婿も子も一般化交換。これを証明した。 |
上図は婿と子の交換で形成された社会構造。 1 半族(女系) 2 対抗する8サブセクション 3 婿交換でできる半族(楕円)男系。 下図はWarner作成になる。
次の文章 ; « C’est ce que Warner suggère dans son schéma théorique du système Murngin , qui trahit, à notre avis, l’esprit du système » 197頁。Warnerはムルンギン族体系を理論的図式に簡略化したが、これは体系の精神を曲解(trahir)している。 きっぱりとレヴィストロースはWarnerの解釈を否定した。以下の2の図を提案する。 下の左図 : 長い水平イコールが通婚を示すA1とB1は限定で婿を交換する内婚集団。さらに左右に弧の矢印を側面加えた。これは子のやり取り。右図イコールをたすき掛けに変化させてA1とB1の内婚集団を表す。左右の弧の矢印は子のやり取り。この図はサブセクションを否定したWarner図を見直すレヴィストロース出発点であす。 左右、弧に展開する矢印は子を与える、本投稿最初のデジカメ写真の上段に « enfant » 子とある、生まれた子の帰属サブセクションです。これを再現している。(子を与え子を貰うはアボリジニに広まる慣習)。「Ego私は、女交換の規定通りに嫁を迎え、子をなす。その子は制度の流れ通りに別サブセクションに与える」
その思想は交差イトコ婚、女系半族、婿と子の交換などアボリジニに共通要素を含み、特異は見あたらない。下スライドでレヴィストロースの解を説明する。 婿と子の交換の規則 1 婿交換 : 水平とたすき掛けの両立。水平、たすき掛けとも一般化交換を採る。すなわち婿を貰う側に贈るのではなく別サブセクションに贈る(Webbの図、及び他部族の慣習を採り入れている)。 2 婿交換の境界 : 半族境界線を越える、子の交換境界線を越さない(下図) 3 子の交換 : 半族境界線を越さない、子の境界線をまたぐ(同)
図の右は婿、子の一般化交換を示している。 婿交換の内婚集団と重ねる。
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